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執筆者の写真杖道同好会 神戸大学

GW特別号



何から話すべきでしょうか。およそ半年ぶりのブログ更新です。今までもブログは書こうとしていたのですが,書いては消し,書いては消しを繰り返した結果,何も書けなくなるというスランプに陥った作家の真似事をしていました。スランプの真似事なんて本当にスランプに陥っているよりもタチが悪いです。で,なんで今回ブログを更新できたのかというと,前の主将(M1)が「GW中にブログを更新しなければお前を消す(意訳)」と言ってきたからです。いま部屋の隅でガタガタ震えながらブログ書いてます。


 かつてこのブログを読んでくださった読者も,もうブログの存在なんて忘れているでしょうが,更新してしまった以上,何か書きます。まず,新年度の杖道同好会の近状報告をします。毎年の恒例ですが,この時期は新歓を頑張っています。実は,杖道同好会にはすでに新入生が1人入会してくれています。本当にありがたいです。さらに,居合道部の方がよく練習に来てくださっているので,現在の杖道同好会は,近年まれにみる規模で活動できております。これからも杖道同好会は新歓にも通常の活動にも邁進していく所存です。何卒杖道同好会をよろしくお願いします。


 最近アツい漫画を話をします。これから紹介する漫画は全て無料で公開されていますので,ぜひ一度お読みください。今日の目的はこれです。

『K2』

 医療漫画です。タイトルに「2」と入っていることからわかる通り,『K2』は『スーパードクターK』という作品の続編にあたるのですが,『スーパードクターK』を読んでいなくとも十分に楽しめる構成となっております。コミックDAYSで,5月末まで無料公開中です。主将は最近『K2』を杖道同好会の会員にお勧めしすぎて,「もうK2の話題はいいよ」という空気になってしまいました。K2の話題に飽きたならK2を読め。

 K2ですが,ドクターKという凄腕の無免許医が主軸となり,ドクターKの周りの人間の成長や,ドクターKの過去の因縁を描くという構成の物語です。さて,「凄腕の医師」「無免許医」という言葉が出てきた時点で,ブラックジャックを連想した方も多いのではないかと感じます。そこで,ブラックジャックとK2の違いに注目しながらK2についてお話していこうと思います。

まず,ブラックジャックとK2では,凄腕の無免許医の役割に大きな違いがあります。ブラックジャックこと間 黒男は,世界中の権力者だけでなく,自分の医術を提供した相手にはだいたい例外なく法外な対価を要求し,そのやり方のため,世界を飛びまわり,命を狙われたりするわけですが,K2では事情が違います。ドクターKは,ブラックジャックのように崖の上ではなく,国内の因習が蔓延っていそうな村を拠点に,そこで医術の研鑽を行うというスタイルです。つまり,医術への報酬をどう描くかという違いがあります。ブラックジャックでは,法外な報酬という一種の面白さや,その報酬をどう払うか,どう扱うかとい側面からさらに良いドラマが描くことができるため,治療費についても描写しています。しかしK2では,治療費についての描写は多くありません。おそらく治療費は正当な額を支払うことで完結しており,そこをわざわざ描く必要はないのではと考えています。そもそもドクターKは,無免許医のくせに東大の医師と知り合いだったり一緒にオペをしたり,普通に総合病院でオペをしているなど,表の社会でまっとうに医術を提供しています。表の社会で活動するなら治療費は当然正当なものであるはずだろうという考えのもとで作劇されているのだとは思います。K2では,治療費をめぐるドラマではなく,治療を通じた登場人物の成長を主眼に物語が進行している感じなので,治療費に焦点をあてる必要性は薄かったのだろうと感じます。

ブラックジャックは,ブラックジャック本人のみせる葛藤などの人間味が作品の大きな魅力でありました。しかし,K2の無免許医ドクターKは,作品を通して葛藤や悩みなどはほとんど見せず,ドクターKの周りの人物を導く役割を与えられています。K2の作者は,ドクターKはあえて悩まない神のように描き,Kのまわりの医師などを成長させていくように描いている,とお話していました。どこかで。実際,ドクターKは一切迷いなくオペを進行させます。したがって,作品自体の店舗は非常によく,ストレスなく読み進められます。Kの周りの人物の成長にしても,ストレスがかかる展開は多くなく,観ていて気持ちの良い成長が多く描かれています。これは,Kに与えられた役割によるところが大きいでしょう。 以上のように,Kはブラックジャックのような人情味という魅力はそこまで前面に出ていません。とはいえ全く人間味がないわけではありません。ではK2のおもしろさは何なのかというと,医療シーンはもちろん,作中の人物の黄金の精神だと考えています。

K2で出てくる医師は基本的に全員非常に優秀であるため,致命的な誤診はなく,迷いなく治療が進みます。したがって,読むにあたってのテンポがよいです。治療シーンも,考証が綿密になされていることを感じさせる密度で展開されており,画力と情報量に圧倒されながら楽しむことができます。K2では,治療シーンのクオリティの高さが一つの魅力であり,先ほども述べましたようにその画力と考証のために,オペのシーンがひとつのエンタメにまで昇華されています。これは,あえてKから人間味を引き算した結果生み出されたものともいえるでしょう。ブラックジャックの医療シーンも素晴らしいのですが,K2はより濃い筆致で描いているため,ブラックジャックとは異なる魅力が生まれています。

K2に登場する医師は,優秀であると同時に全員が黄金の精神を持っています。K2では,どちらかというとプロ精神と言い換えたほうが近いかもしれませんが,全員が医術に並々ならぬ思いと技術を抱えています。したがって,患者を救うことに関して皆全力であり,その精神性に何度も心を動かされます。ブラックジャックでも,ブラックジャック本人は患者を救うことには心血を注いでいますが,比較的悪徳医師が多く,悪性との戦いも作品の面白さです。K2では,そのような悪徳医師はそこまで多くなく,ドクターキリコポジの闇医者も登場しますが,なんかいいやつなのでたいへんストレスなく読めます。とにかく,K2ではプロ意識を正面から楽しむことができ,人間の善性に心を動かされるというのも魅力です。作中に登場する医師は全員水戸黄門や鬼平みたいな感じで,この人が出てきたなら大丈夫だという思いになりながら読めます。

Kの過去の因縁も作品の軸であるのですが,長くなってしまったのと,作品のネタバレにもなってくるので,ここでは控えさせていただきます。K2は,面白いです。読んでみては,と思います。本当は,『忍者と極道』という作品の紹介もするつもりでしたが,想像以上に長くなってしまっているので,別の機会にいたします。

みんな!”忍極” キメろおおおおおおお!!!!

杖道同好会,皆たいてい漫画を読んでいるのでそれなりに話題は合うのですが,読んでいる漫画の方向がちょくちょく違うので,話が合いそうで合わないことが結構あります。多分杖道同好会で「ぼっち・ざ・ろっく」を読んでるのは主将だけ。


杖道同好会のブログといいつつ,ほとんどK2の紹介でしたが,杖道同好会では好きなようにやれという方針のもと運営をしています。前回のブログで,杖道同好会の方針や雰囲気についてお話しされているので,ここではしっかり語りませんが,一回見学に来てみてください。新入生はこんなブログ読まないよね。


主将

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