杖道とはどんなものなのか?
何の変哲もない一本の杖を自在に変化させ刀を制する、それが杖道という武道です。 その起源は、あの宮本武蔵を打ち破ったともいわれている夢想権之助によって編み出された神道夢想流杖術にあります。 技法的には、古歌に「突かば槍 払えば薙刀 持たば太刀 杖はかくにも 外れざりけり」とあるように、突き、払い、打ち等、千変万化の術技となっています。 千変万化の技の他にも、相手を倒すのではなく制することを目的としていることも杖道の性質の一つであり、杖道が老若男女誰でもできるといわれている理由の一つです。
杖道の特徴
杖道は、形という決まった一連の動きを稽古するため安全で、個人の力量に合わせて稽古できます。そのため、年配の方や女性の方でも安心して稽古することができます。 また、刀を使うといっても、真剣ではなく木刀を使うので危険はありません。 さらに、使用する道具が木の杖と木刀であるため、初期費用が安く、お金のない学生でも続けることができます。 杖道を修行することの効果としては、姿勢がよくなる、礼儀作法が身に付き人間関係が豊かになる、修行を続けることで自信が生まれ、冷静さをもって物事に対処できるようになる等が挙げられます。
練習について
実際の練習では、主に全日本剣道連盟杖道の基本打と杖道形を稽古します。 全日本剣道連盟杖道の基本打は、杖道形の基本となる動きを稽古するもので、一人で行う単独動作と二人で行う相対動作があります。 杖道形は二人一組で行う形で、杖を持つ仕杖が刀を持つ打太刀の仕掛けに応じて、制するといった形を行います。 基本打、杖道形はそれぞれ十二本ずつあります。
基本打(きほんうち)
一本目 本手打(ほんてうち)
二本目 逆手打(ぎゃくてうち)
三本目 引落打(ひきおとしうち)
四本目 返し突(かえしづき)
五本目 逆手突(ぎゃくてづき)
六本目 巻落(まきおとし)
七本目 繰付(くりつけ)
八本目 繰放(くりはなち)
九本目 体当(たいあたり)
十本目 突外打(つきはずしうち)
十一本目 胴払打(どうばらいうち)
十二本目 体外打(たいはずしうち)
形(かた)
一本目 着杖(つきづえ)
二本目 水月(すいげつ)
三本目 引提(ひっさげ)
四本目 斜面(しゃめん)
五本目 左貫(さかん)
六本目 物見(ものみ)
七本目 霞(かすみ)
八本目 太刀落(たちおとし)
九本目 雷打(らいうち)
十本目 正眼(せいがん)
十一本目 乱留(みだれどめ)
十二本目 乱合(らんあい)